朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
何故か俺が褒められた。
しかし咲桜の親友である松生にここまで歓迎されるのは正直ありがたい。
人目を忍ばねばならない立場の上にある関係だから。
「ぶははははっ! マジで⁉ 咲桜が神宮の彼女⁉ ま、マジかよ咲桜すげーなお前!」
爆笑された。
壁をどんどん叩いて腹抱える遙音に、言ったことを後悔した。
やはりこいつには隠しておくべきだったか。色々とうるさいから。
「は、遙音くん笑い過ぎではっ」
「ごめっ、ごめん笑満ちゃん……っ、くくっ……あ、咲桜のこと笑ったわけじゃねーからな? 気ぃ悪くしないで」
涙すら浮かべて笑い転げた遙音は、松生と咲桜には片手をあげて謝った。
「もうお前帰れ。うるさい」
遙音は「ごめんごめん」と続けた。
「冷たいこと言うなよー。お前と咲桜が逢いやすいように……ぶははっ」
最後まで言う前にまた笑い出した。
駄目だこいつ。
「……松生。そいつの口を止めるのはどうすればいい?」
「え、えーと……遙音くん、どうすればいいかな」
本人に訊いた。
遙音は今度こそ、と笑いを収めた。