朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「自分から告白したのも、彼女に、って望んだのも、咲桜だけだから。だから正直、慣れてないのは俺も同じだ」
こつん、と額同士があたった。
こんなにずっと誰かを見ていたいと思うことがあるなんて、知らなかった。
「……だから、嫌なことをしてしまったら躊躇わずにそう言ってもらいたい。俺、結構したいようにしてしまうから」
「……わかった。……でも、言っておくけど……されたことの中で、嫌なことは一つもないから。驚くのとか困るのとかばっかりだけど」
……確かに、そうかもしれない。
咲桜はよくわたわたしている。
ここまで『大事』という感情は、あることすら知らなかった。
……どうすればいいのだろうか。
咲桜に、そう思っていると言いたいのに、伝えられる言葉を、俺は知らない。