朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
咲桜を抱きしめて、短いながら深く眠り込んでいた。
軽く背中を叩かれ、ぼんやり瞼を開けた。
そこには優しい表情の咲桜がいて、やっぱりこれは夢で、願い過ぎるあまりに見た幻だと思った。
幻でも逃げられたくなくて、きつく抱き寄せると抗議の声があった。
『ちょ、流夜くん! 起きてるなら離して!』
『……起きてないから離したくない』
『会話成立させといてふざけんな!』
怒られた。
また眉間に一発喰らいそうな雰囲気になってきたので、いい加減寝惚けた頭を覚醒させるよう努めた。
少し腕を緩めたけど、まだ抱きしめたままだ。
『……逃げなかったんだな?』