朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「咲桜! 待てって」
腕を捕まえた勢いで身体も抱き寄せて、抱きしめるかたちになった。
咲桜はパニクっているのか、逃れようと必死だ。
「だ、大丈夫ですから誰にも言いませんからっ」
「なにをだよ。勘違いしてんだろ、お前」
「勘違いなんてしてませんよっ。親友の恋路の邪魔はしませんっ」
「じゃあこっち見ろ」
ぐいっと咲桜の頬を包んで、無理矢理上向かせる。
紅いのか蒼いのかわからない顔色をしていた。
目線がうろうろして、俺に見つめられることに耐えられなくなったように口が動く。
「……笑満と、なに話してたんですか?」