朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


『……私は言ってほしかったけど』


『けど、まさかキスしたこと忘れているようだったら話さない方がいいか? とも訊けないだろう。その質問自体がばらしてる』


『そうだけど……。また、する気だったの?』


『ん?』


『言ってたじゃん。そのうちしてやるから、って』


『ああ……そういう風にぼかしておけば、咲桜が自発的に思い出してくれるかなっていう浅い願望だ。あと、なにもなかったって思われるのも……少し嫌だったからな。俺の中では結構重要な出来事だったし』


『私の中でも重大事件だよっ。うー、ちゃんと憶えていたかったー』


『……憶えていたかったのか?』

< 151 / 336 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop