朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


「知らん」
 

咲桜が逃げようとするのが気に入らなくて、ぶっきらぼうな言い方になった。


「………」


「松生がなにか言いかけたところにお前が来たんだ。だから俺も知らない」


「でも……笑満、あんな近づいてて……」


「俺は」
 

右手を、頬から顎に移す。


「この距離は咲桜にしかゆるしていないつもりだが?」


「………っ」


「わかったなら戻れ。もう俺の前から逃げ出すなよ」


「……はい」
 

咲桜は、今度は確実に頬を赤らめて肯いた。


「あのさ。いくら誰もいねー旧校舎だからって、そんだけいちゃついてたらすぐバレんぞ、お前ら」

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