朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
5 一緒にいるんだから、頼れよ。
side咲桜⑨
……明らかに流夜くんは人目を引いていた。
わざとらしく流夜くんの前を行ったり来たりする女性までいる。
うわ……こういう人ってほんとにいるんだ……。
流夜くんにしろ、見ている女性たちにしろ。
どうしよう……早く傍に行きたいのに、滅茶苦茶怖い。
対女子ということに経験のない私の足は萎縮していた。
野郎だったらぶっ飛ばしで問題ないんだけど、女子を敵に廻すことには抵抗がある。
殴りたくないしなー。
「咲桜」
悩んでいる間に、流夜くんの方が気付いて声をかけてきた。
メガネのない顔。遮るものひとつだけでキラキラして見えるから謎だ。
「咲桜? どうした」