朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
吹雪さんのとんだ発言に、女性たちは一瞬にして固まった。
う、美しさ?
ぶっちゃけ私から見ても、女性的美しさは吹雪さんの方が上だ。
吹雪さんは中性的な美人だけど、化粧もなにもない分、素の美しさがキラキラしている。
彼女たちは敗北でもしたような顔になった。
「ご、ごめんなさいー」
脱兎のごとく逃げるキラキラした女性たち。
呆気にとられるしかない。
傍らの流夜くんと降渡さんは、慣れた様子で眺めていた。
「ほらな。ああいうのは、大体吹雪がああ言えば逃げていく」
「『僕』って言ってるんだけどなー」
「吹雪さん強すぎます!」
どんな武器を持っているんだ、あの人は!
「あ、でもそれで吹雪さんの女の人だって誤解しちゃう人もいるんじゃ――」
心配が的中して、吹雪さんに男性が近寄ってきた。