朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


「……今も、早く吹雪さんとこ行きたいですか?」


「今は、少しでも長く咲桜の傍にいたい」
 

……またそんな嬉しくなってしまうことを言う。


服を見るふりをして、顔を逸らした。


「流夜くんって、すごく素直なこと言うよね。わざと?」
 

心臓に悪いほど真っ直ぐに言葉をくれるから、ドキドキしてばかりだ。


「素直? じゃないだろ、俺。ねじ曲がってるとかしか言われたことない」
 

かなり素直だと思う。


私に対して、言葉を繕う素振りがない。


……では、無意識にくれる言葉は本音なのかな。


「でも……私に、嘘ついたことないでしょう?」


「嘘?」
 

過去にいた彼女のことや、警察に関わっていること。


遙音先輩のことのように言葉にしていないことはあるけど、嘘を言われたことはないように思う。

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