朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
咲桜は自分の彼氏どころではなく、ほぼ毎日俺のアパートへやってきてメシを作って行ってくれる。
おかげで俺も健康志向になってしまいそうだ。
……偽婚約の話を合わせるために今までの私事――学者としての仕事の方――の概要なんかを話したら、生活態度が狂っていると説教を喰らった。
先日、在義さんにも正座で説教されたから、俺は華取家には逆らえない性質らしい。
これまでやってきたやり方を変えるのは難しいけど、咲桜を怒らせたくもない……気がする。
しかしそんなことに時間を使っていては、偽婚約の先の目的が果たせない。
「じゃあさ、りゅうは咲桜ちゃんをどう思ってるの?」
「咲桜を?」
「率直に」
そう訊かれて、考えてみた。
咲桜をどう思っているか、か……。