朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
ぺたりと坐りこんでいる笑満は、しばらく呆然としていた。
それから、ふと口元を歪めた。
「やっぱり……あたし、遙音くんには逢っちゃダメだった……」
「はるおとくん……?」
その聞きなれない呼び方に、私は眉を寄せる。
笑満は夏島先輩のことを、『先輩』と呼んでいたはずだけど……。
がばりと笑満が顔をあげた。
今にも泣き出しそうな顔で、傷ついた瞳をしていた。
「どうしよう咲桜っ、遙音くんに昔のこと、思い出させちゃうかもしれない……っ」
私の制服を摑んですがってきた手。
私はその手を握り返した。