朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「………」
まさかあの在義さんが逃げるとは……。
やはり親バカも大概だったか。
華取家まで来たものの、在義さんがいないのではどうしようもない――……いや、咲桜と二人きりでいられる、とか邪なことを考えるな。
自分を戒める。
お隣の目は今日も光っているのだ。あまり遅くまではいられない。
ぶんぶん頭を振っていると、咲桜が不審そうに見てきた。
「どうしようか……流夜くん、せっかく来てくれたのに……」
「あー、気にするな。また出直す」
しょぼんとしてしまった咲桜の頭を撫でる。咲桜に非はないのだから。
「でも……やっぱり、反対されるのかな……」