朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
顎に手を滑らせると、半ば強制的に咲桜の瞳が俺を見た。
……だから可愛いんだって。
咲桜に抵抗の様子がないのを見て、羽にでも触れるように、そっとその唇に触れた。
……一番、愛情をあげたい子。
どうしてか、咲桜にしか抱かなかった感情がある。
可愛い。どうすれば伝えきるのか。
言っても尽きないのはわかっているので、抱き寄せる腕にもこめてみる。
すると抵抗があった。
「あの……ちょっと苦しい……」
「あ、すまん」
少し力を弱めると、咲桜が腕の中で身じろいで顔を上向けた。
少し困ったような顔を、華みたいに微笑ませた。
「……やっぱり、すき」
「………」
……時々爆弾を落としてくるからたまらない。