朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
side流夜11
咲桜と離れがたいのを頑張って離れて、華取家に置いて、ちゃんと鍵を閉めるところまで確認した。
在義さんが戻ってくるまでいようかとも思ったけれど、自分なにを仕出かすかわからない。
それに、今日在義さんは俺を避けて家に帰っていないんだ。
泥沼にもしたくない。
せっかくちゃんと、咲桜と恋人になれたのに。
『朝間』と書かれた家の、インターホンを押す。
出来れば一番顔を合わせたくない人だが、現状咲桜の安全には一番効力のある人だ。
すぐに戸口が開いた。出てきたのは小柄な老女だった。
「どちら様でしょう?」
女性は小首を傾げて優美に問いかけてきた。
しっかり伸びた背筋。着物を着ていて、しゃんとした様子が伝わってくる。
………。
「ご存知かと思います。華取咲桜さんの、見合い相手です」