朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
side龍生①
「おい、お前ここにいんのばれてんぞ」
「……!」
カウンター席に座る在義の肩が大きく跳ねた。
俺はカウンターに寄りかかりため息を吐く。
「あいつにばれねえわけねえだろ。俺が育てたんだからよ。……帳場はウソ、流夜と娘(じょう)ちゃんから逃げたって、まあわかってんだろうな」
「………」
在義は手を組んで拳に額を押し当てた。
「だってな、龍生……咲桜が彼氏連れてくるとかもっと後のことだと思っていたのに……」
「てめーから偽婚約了承しといてなに言ってんだよ。それに、流夜だったらいんだろ?」
「いいから悪いんだよ」
「どっちだ」
「流夜くんがいい子だから反対出来ないんだよ。なんこう、もう社会不適合レベルだったら猛反対出来たのに!」
「娘ちゃんがそんなヤツ連れてくる方が難しいけどな」