朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


「犯人は、少しして捕まった。……んだけど、その動機が明るみになって、遙音くんのご家族が悪者にされたの。被害者なのに。

……遙音くんのお父さんが、仕事の面で犯人を不当に扱ったとか、そういった感じで、世間は犯人に同情的になった。

……言いたくはないけど、殺されても仕方ないって、いう言葉も聞いた。

……そん中で一人生き残った遙音くんを、世間体を気にした親戚は引き取るとか出来なくて、施設に入ったの。

それきり、遙音くんとは逢ってなかった。あたしもその後に引っ越したし……。

……藤城に入って、遙音くんがいて、笑っていてくれて、嬉しかった。きっと哀しいだけのことだから、昔の知り合いを名乗るのはやめようって思った。先輩として、すきになったんだって。

……すきだったから。あの頃からずっと、遙音くんのこと、すきだったから。……遙音くんがいなくなることを、あたしには止める手段なんかなくて、いつの間にかいなくなってしまって……。

だから、あたしは後輩として遙音くんをすきになったんだって、新しく思うことにしたの。……最初に流夜くんに逢った時、遙音くんがいたでしょ?」


「………」
 
こくりと肯く。

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