朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
見咎められる、あるいは一緒に来ると言い出すかと思ったが、私が話したい様子を察した笑満の誘導でうまく教室を抜けられた。
「ごめんね、笑満……」
「いいから。……夜々さんとこ行く? あそこなら少し落ち着くでしょ」
顔色悪いよ。
気遣われて、自分の頬に手をやった。
たった少しの時間なのに憔悴(しょうすい)しているのか。
我ながら情けない……。
頼は大事な友達だ。けれど、厄介な幼馴染でもある。
捨て置けるような存在ではないけれど、たやすい相手でもない。
……私の中の弱さと強さが混在する、ただならぬ友人だった。