朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「流夜の場合、ちゃんとした恋愛は咲桜ちゃんが初めてだから、まあその辺り咲桜ちゃんと一緒に学んでいけばいいんじゃない? 流夜は中学生レベルの恋愛から始めた方がいいよ」
「………」
俺はそこまで非道いのか。
実際、非道い自覚もあるけど、咲桜が高校生なのに俺は中学生レベルなのか?
咲桜に逢えないためか覇気もなくのろのろと資料を繰(く)っていると、吹雪のスマホが着信を告げた。
すぐに応答した吹雪。話しながらこちらへ歩いてくる。
「? 吹雪?」
「流夜へだよ。お嬢様から」
ひったくった。
「もしもっ、咲桜か?」
勢い込み過ぎて噛んだ。
吹雪は腹を抱えて笑っているけど、気にしている余裕もない。