朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「よかったね。お姫様の声が聞けて。しかも龍さんとこで密談なんてねー」
吹雪はさも愉快そうに口を歪めている。
俺は、耳に焼き付く咲桜の声が響いて、胸が熱くなる。やっぱり、愛しい――
「別れ話だったりして」
「……!」
意地悪く聞こえてきた声に、思わず顔をあげた。
にやつく吹雪が見ていた。
「咲桜ちゃんの家もダメ、流夜の家もダメ。話せる場所は外だけ。……ちょーっと危ないんじゃない?」
「っ……」
まさか――そんなことがあるのだろうか。
でも確かに咲桜は言いにくそうだった。
「流夜。これからも付き合っていきたいんだったら、色々学びなよ?」
吹雪の声だけが、冷たく響いた。