朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「頼? ……日義か?」
こくりと肯いた。
「それはぬかったな……」
「……そういう意味じゃないの」
「? 意味?」
「――ごめんなさいこれって言いたくない、ほんと」
咲桜は俯き早口に言った。
「………」
言いたくないこと。
吹雪の言い分ではないが、そのくらいはあることは頭ではわかっているつもりだ。
咲桜は咲桜の生(せい)を生きている。
けれど今、それに触れることを咲桜は拒むのだろう。
こちらを見てくれないように。
「……咲桜に、危ないことはないんだな?」
「………」
こくり、また肯いた。そして口を開く。
「ごめん。これは、たぶん私が解決しないといけないから」