朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
必死な言い募り方に、胸に下がらないものを感じながらも、がんばった。
がんばって、咲桜の意思を肯定することにした。
「……わかった。咲桜が無事ならいい。訊かないから、そんな顔をするな」
本当は無理矢理にでも口を割らせたい。
咲桜を憔悴させるほどのことなんて、存在するだけでゆるせない。
しかしそんなことを言ったところでどうにもならない。
「………」
咲桜は申し訳なさそうに、また深く俯いた。
「だからそんな顔するなって……。咲桜、触ってもいいか?」
「えっ」
「手、握るだけだから」
「………」
今度は咲桜は、恥ずかしそうにうつむいた。
そして、机に隠れていた手を持ち上げた。
机の上で繋がれた両手。
「……力になれることがあったら、言えよ」
「……うん…………」