朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
side咲桜14
『咲桜。彼氏とお似合いだな』
ぞくり――と肌が粟立ったのを今でも思い出す。
昼休み、流夜くんのいる旧校舎を訪れようとした私の足を停めた言葉。
頼がそんなことを言うなんて――煌(きら)めいた瞳。
あのときと同じだ。まさかと思っていたけど――
やばい――流夜くんが狙われる!
その言葉を聞いて、直感が確信に変わった。
頼は流夜くんに目をつけている。
過去の私にしたように。
……あんな思いを流夜くんにさせるのは嫌だ。
そう想いが募って、結局旧校舎へは行けず、自分の部屋に戻ってからも胸の奥に重いものがたちこめていた。
流夜くんには、今日は行けないとメッセージを入れておいた。
少し考える時間がほしい……。
それに、頼だったらどこかに張り込んでいるかもしれない不安があった。