朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
しかし初めて旧校舎で――学内で咲桜と逢ったとき、咲桜は日義に言うことを否定した。
名前を出して、『頼には言いたくない』と。
やはり異性の友人では、同性の松生とは勝手が違うのだろうか。
俺の方で話したのは吹雪や降渡だけだから、そこは想像するしかなかった。
わかるのは、咲桜が警戒していることは、自分と付き合っているとばれた、だけではないということだ。
それ以上に日義に知られてしまったことがあるのか?
――咲桜の出生、そして俺の家族にあったこと。
俺たちにおいて大きな問題といえば共に家族のことだ。
日義は小学校からの幼馴染だという。
咲桜の家族の方は知っていてもおかしくない。
それとも今頃知られて混乱しているのだろうか。
あるいは神宮家(うち)の件。