朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
今もっとも警戒すべき姿。咲桜と自分の関係を知っているかもしれない存在。
日義はいつも通りだるそうな顔で、特に俺を気にした様子もない。
……教師とは気付かれていないのか?
足を停めることもなく前へ進む。
「咲桜が隣にいるの、お似合いですよ。神宮先生」
すれ違いざまに囁かれた。
ともすれば、警戒するあまり自分の脳が作り出した幻聴にも聞こえたが、微かに振り返った時に見えた日義の横顔は、言葉を発したのは自分だと言っていた。
咲桜の隣。
ばれている。
咲桜の彼氏とは、俺であると。