朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
困っていると、笑満が一度大きく手を打った。
「はーい、咲桜困らせないの」
「なんだよ。松生知ってんのか?」
男子の一人に言われ、笑満は「当り前でしょ」と腰に手をあてた。
「頼が知っててあたしが知らないわけないじゃない。咲桜の彼氏は優しくて包容力のある大人だよ。この大人びた美貌の咲桜とよくお似合いな」
「年上?」
「ちょっとね。だからあんたたちが束になってかかっても全然敵わないよ。わかったらはーい、散る!」
「えー、咲桜の彼氏見てみたいー」
「機会があったらね。向こうはお仕事持ってる人だから、難しいけど」
「そうなの? 本当に大人なんだ」
「んでも、咲桜おめでとー」
「いつか逢わせてよね」
口ぐちに言って、みんなばらけていった。
……ノリのいいクラスメイトだった。