朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
残った笑満に、私は顔の前で両手を合わせた。
「笑満ありがとう」
小声で礼を言うと、笑満は軽く手を振った。
「いや、簡単に納得してくれてよかったよ。……頼。あんた咲桜を困らせたいの?」
「……笑満、知ってたのか?」
ぼんやりした声で問われると、こちらの覇気が抜かれてしまいそうになる。
「……知ってるけど」
「どんな人?」
「……あんた、見たんじゃないの?」
笑満は私から、疑わしい経緯は総て聞いている。
「ちらっとだけ。性格までわかんないじゃん」
飄々と返されて、笑満は一瞬私を見た。
流夜くんだと気付れているの? 私は瞼をおろすことで答えた。