朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「……流夜くんに話しちゃえば?」
笑満は人目がある場所では、『流夜くん』と呼ぶ。
私と二人だけのときは『神宮先生』と言うから、笑満の配慮はひしひしと感じる。
「話したいんだけど……なんか、頼が今度は流夜くんに目ぇつけたみたいな感じで……」
「え。……それって、頼的な意味で?」
うん、と肯いた。
『頼的な意味』で目をつけられている、と感じる言い回しをされているから。
「はー。あいつもとことん面倒だね。せっかく付き合えたばっかなのに」
「申し訳ない……」
「あたしに謝ることないよ。あたしはなんの被害もないんだから。……流夜くん、心配してるでしょ?」
「うん……。昨日、龍生さんのお店で話したんだけど……やっぱり、言えなくて……。本当どうしよう」
もう頭を抱えるしかない。けれど、解決しなければいけない。