朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
side流夜16
降渡から得た情報で総て解決、とはいかなかった。
が、多少ながら状況は得ることが出来た。
「………」
旧館へ向かう途中だった。
並んだ樹の影に、人の姿が見えた。
この二日は咲桜が休み時間にやってくることもなくて、物足りない日を過ごしていたからすぐに気づいた。咲桜と日義だ。
言い争っているわけではないが、咲桜が何かを言い募っているのがわかる。
ここからだと見えるのは日義の表情の方だった。
日義はいいから咲桜の顔が見たい。
そう思って、少し足を停めた。
途端、日義と目が合った。
特に隠れてもいなかったから、偶然だったのかもしれない。だ
が明らかに、俺に気づいた日義は唇を歪(ゆが)めた。
そして、咲桜に覆いかぶさるように近づいた。
「――!」
な――
にをしている!
「咲桜!」