朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「咲桜のお見合い相手、流夜くんでよかった」
「……私もそう思う」
もうこんなに、流夜くんでなければダメだった。
偽モノ婚約だけど、はっきりそう言える。
「本当に婚約しちゃいなよ」
「それは……迷惑だよ」
偽モノだから、流夜くんは協力してくれた。
最初は婚約の話なんて言語道断といった雰囲気だったのに、偽モノという時点で肯いてくれたのだから。
「そんなことないと思うんだけどなー。あたしが咲桜あげてもいいって言ったら、じゃあもらおうか、て言ったんだよ?」
「笑満に調子合わせてくれただけでしょ」
流夜くんは軽いノリで大胆なこと言う。
だから重い意味などないと理解していないと、何回も火を噴きそうになる。
「笑満は、遙音先輩のこと、すき?」
「………うん」
問いかけに、申し訳なさそうに肯く笑満。
「じゃあ伝えなくちゃもったいない」