朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
龍さん仕込みで武道はある程度やっているので、暴力問題を起こすような生徒の対応も心得ている。
藤城ではそんな生徒は少ないが、ただ、地味な教師に抑え込まれたとは生徒らのプライドが許さないのか、学内でも学外でも噂もされてはいない。
指から移動して、咲桜の腕に触れる。
ぴくりと肩が跳ねたのを見て、勢いよく引き込んだ。
バランスを崩した咲桜が飛び込んでくる。
難なく受け止めて、膝の上に座らせた。
「わっ、流夜くん学校でこれはまずいんじゃ――」
「日義の所為で二日もまともに逢えなかったんだ。少しくらい触らせてくれ」
直接的な言葉のせいか、咲桜の頬が朱に染まった。
「……お前、よく日義と友達でいるよな。小学校から一緒だって言ってたか?」