朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
咲桜は背が高いので、膝に乗せると身長差で少しだけ咲桜の視線が上になる。
腰に手を廻して抱き寄せ、片手で長い髪を梳く。
あー、落ち着く。これだから手放したくないんだ。
「友達っていうか……小学校で頼に追い掛け回されたのは私だから」
「……なに?」
咲桜の髪をいじっていた手が停まる。
まじまじと咲桜の顔を覗き込むと、かなりの疲れが見える顔になっていた。
追い掛け回されたって――ものすごく嫌な響きだ。
「頼が、最初に興味を持ったのが私なんだって。さっきの流夜くんみたいな反応で写真を撮らせてくれって追い掛け回されて……。その異様さに、生徒も先生もみんな引いちゃって。これは私が責任取って一生友達でいるしかないなって思った」
「どうしてそういうとこ男らしいんだ、お前は」
惚れ直すぞ。
呟き、髪を掬ってキスした。
案の定、咲桜は触れたところを押さえて真赤になる。