朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
side流夜17
まさかこんな早く逢えない時間に陥ってしまうとは思わなかった。
……俺がそれを見ているのに気付いた咲桜は自分の手を触れさせ、目を閉じた。
「……ありがとう。やっぱり流夜くんはすごいね。……一人にならないようにしてくれるんだから」
お守りだと言って、渡した。
立場上、どうしても傍にいられないときもあるから、と。
……こういう意味で引き離されるとは思ってもいなかったけど、結果的に咲桜の助けになったようでよかった。
「咲桜……」
呼びかけられると、閉じてしまっていた咲桜の瞼があがる。
柔らかな空気が満ちる。
近づく。――もっと近づきたい。
俺たちの間に距離はもうない。咲桜も流れる雰囲気に抗わない。
触れることを、躊躇う理由がない――
「てめえ神宮! 俺んとこにガキ送り込んだのお前だろう! すっげえ怖いんだけど!」
若干剥かれた遙音が飛び込んできた。