朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「……もったいない?」
「うん。笑満のそれは、笑満の中だけでしまっておくには綺麗だから。遙音先輩に見せつけてやりな。新しく同じ人をすきになってもいいじゃん」
「見せつけるって……喧嘩売るんじゃないんだから」
ぷっと、笑満が吹き出した。
……緊張は少し融けただろうか。
「あんとき流夜くんに喧嘩売ったのは笑満でしょう」
「それはそうだけど……」
「私も笑満も結構、喧嘩上等だから性質悪いんだよ」
「自覚あるならいいじゃん。あー、なんだかすっきりした。ありがと、咲桜」
「それはよかった。すぐに告白しろとは言わないからさ」
「あたしだったら背中蹴飛ばして送り出すけどね」
「私もそうしようか?」
「咲桜はそのままでいい。そのままの咲桜をあたしは愛してるから」
「私も愛してますよ」
くすりと笑い合う。
笑満が友達でよかった。
その気持ちは、たぶん一生変わらない。
……笑満に一番大事な人ができても。