朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
遙音が飛び込んできた勢いも手伝って、咲桜は離れてしまった。
「忙しない奴だな、お前は」
咲桜は人目があるのが気になるのか急に慌てだしたので、摑んでいた手を離す。
「――って先輩! まさか頼、もう行ったのっ?」
……さっきから遙音が、思い当ってしまう人物がしそうなことで騒いでいる。
「あ? ああ、そういや咲桜ともよく一緒にいるよな、一年の首席。なんなんだあいつ。いきなり教室に来て写真撮らせろとか迫ってきたんだけど。若干制服剥かれそうになるし。マジ怖ぇ」
「あのバカー! ごめんなさい先輩!」
悲鳴のような叫び声をあげて、咲桜は腰から折って頭を下げた。