朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


「黄金比率としては咲桜と先生の方が最高のバランスなんですが――先生、撮られる気になりましたか?」


「なるわけないだろう。けど、遙音と咲桜の写真も許可しない」
 

冷えた声で断言すると、日義は一度大きく瞬いた。


「へえ――それが先生の地ですか?」


「悪かったな、性悪で」


「いえいえ――存分に良いと思いますよ。二面性は芸術です」
 

わけのわからない持論を展開して、嬉々とカメラを構える。


「俺を見るなー!」
 

遙音は恐怖に蒼ざめた声を出す。


どれだけ追い詰められたんだ。


……完全に咲桜の背中に隠れてしまったのを、快く思わない偽婚約者もいるんだが?

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