朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「日義、俺と咲桜のこと気にしないって言ったよな?」
椅子から離れ、ついでに遙音が手を置いていた咲桜の肩をさらう。
引き寄せられて隣に立つ咲桜を見て、日義は微かに目をみはった。
「……言いました、が、それは先ほどの話です。今、先生が咲桜を抱き寄せているの、これに撮ったらどうなります?」
「消す」
端的に答えると、日義はさすがに息を呑んだ。
「咲桜とのこと、まだ知られるわけにはいかないんでな。武力行使でもなんでもしてやるよ」
暗にカメラごと壊すと言うと、日義は口元を歪めた。
さも愉快そうに。楽しい恐怖対象でも見つけたように。
「……なにか勘違いしてません? 先生」