朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


「まあ、それは先生に関してだけです。咲桜の方は気になるな。長い付き合いですから」


「うっ……」
 

咲桜が息を詰まらせた。


「っつーわけで、先生とはどういう関係なんだ?」


「えっと……」


「婚約者」


「「!」」
 

咲桜が言いよどんでいるから、俺が答えておいた。


咲桜と遙音が同時に俺を見てきた。


「……こんやく?」


「そう」
 

呆然と呟いた日義に言い、かけていたメガネを外した。


それを胸ポケットに押し込み、軽く前髪をはらう。


「これでいいか?」
 

素顔をさらした俺に、咲桜と遙音は瞳を見開いた。


顔を見せることを拒んでいたからだろう。

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