朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


頼が俺に反論する。
 

真剣な眼差し。


いつもは机に突っ伏して寝てばかりの日義は、咲桜のことではこんな表情もするのか……。


「うん、本当。話したかったら言っていいよ。私も学校辞めるから」
 

咲桜も誤魔化しはしなかった。躊躇う様子もなく宣言した。
 

……またさらっと危ないことを。
 

日義はカメラごと手をおろした。


「……俺より先生なんだ……」
 

日義の口の中で消えた言葉は、咲桜には聞こえただろうか。


俺の耳には届いていた。


「……写真、今日は諦めます」


「また明日来るのか?」
 

俺が眉をひそめると、咲桜も口を結ぶ。どういうつもりだ?


「いえ。俺、今までも行事とかでカメラ任されてきましたから、たぶん高校でもそうなると思うんですよね。……卒業式で、家族写真撮らせてもらいます」

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