朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
私はなんとか正気を取り戻し、そのままいつも通りご飯の準備をしよう……としているのだけど、どうにも流夜くんが見られない。
流夜くんのことならいつだって見ていたいはずなのに、見たら自分、致死毒を受けると思う。
現にさっき、血圧上昇し過ぎたし。
「咲桜? 調子悪いのか?」
悩んでいると、後ろから声がかかった。
私が騒ぐので、ちゃんと上着も着てくれた。
「えっ? いや、そんなことはっ」
ありまくりだ。
「そうか?」
流夜くんは首を傾げる。
「咲桜、こっち来い?」
「な、なんで?」
「確認したいことがある」
トントン、と机を叩く音がして、背を向けるのを諦めた。
鍋の火を切る。