朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


その答えで満足したようだ。もう一度カップを手にして、軽く眺めていた。


「……咲桜の淹れ方ですね」
 

感慨深そうに呟き、「ごちそうさまです」と言って立ち上がった。


「日義。遙音のことだけど」


「はい?」


「あいつも結構大変な環境にある。あまり追い詰めないでやってほしい」


「それも警察関係ですか?」
 

からかうような口調だった。俺を試すような。


「そうだ」


「……わかりました。咲桜のためです。咲桜とのことも他言しません。代わりに先生、卒業式の約束は守ってくださいよ。サイコーの写真撮りますから」


「……ああ」


「じゃ、今日はおまけ」
 

シャッター音がしたので見遣ると、カメラを構えた日義がにやついていた。


「! 日義っ」

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