朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


「だーいじょーぶ。悪用はしません。咲桜のとこ以外へは流出させませんから」
 

どうせ咲桜と素顔で写真撮ってないでしょう? とからかい口調で言われ、押し黙るしかなかった。


「……なら今度、咲桜の写真見せろよ」


「いいですよー。持ってきます。小学校から?」


「全部だ」
 

拗ねた口調で言っても、小学校からの知り合いだからそれ以前があったら思いっきり謎なのだが。


「つまんねーやきもち。おもしれー」
 

日義はカメラを仕舞いながら終始笑っていた。
 

最後に、「咲桜のこと、頼みますよ」と言い残して出て行った。
 

俺が知らない過去があるのは当然だ。


そして過去はもうないもので、取り返すこともない。
 

ならば、これからの未来(さき)はずっと見ていたい。
 

改めて、強く思った。

< 312 / 336 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop