朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】



チャイムを鳴らそうとして、殺気――視線を感じた。
 

お隣のあの人だ。
 

隣の家の門扉の影からじとーっと睨んでいる。


「怖いです、朝間先生」


「珍しいですね、神宮さんがこちらへ来るなんて」
 

神宮さん。相変わらず咲桜が関わるときは『先生』とは呼ばない。


「咲桜に用があって来ました」


「用もなしに来てたら通報してました」
 

と、右手にスマホを見せるからやはり怖い。


「反対ですか、まだ」


「反対ですよ。咲桜ちゃんに近づく輩はみんな」
 

……今日も在義以上の親バカだった。


「在義さんには認めてもらってるんですけどね……」
 

ため息が出る。咲桜もその親も納得しているというのに。


「在義兄さんは咲桜ちゃんの言うことなら反対しませんからね。咲桜ちゃんの虫除けは私の役目です」
 

重症だ。

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