朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


「今日は箏子母さんがいるから帰ってからにするわ。でも、ちょっとお手伝いして、いただいていこうかな」


「いいよー」
 

そんなやり取りがあって、咲桜と朝間先生が揃ってキッチンへ立つ。


手伝いをする、と申し出でると、朝間先生に睨まれた。


咲桜との時間を邪魔するなと言いたげな顔だった。


咲桜も、「あっためなおすだけだから」と言って断ってきた。
 

二人が並ぶ姿を見る。


愛子の方が年上だけど、咲桜は朝間先生を母、愛子を姉のような感覚で懐いているように見える。


「女性の後ろ姿でにやつかないでください」


「俺が見てるのは咲桜だけです」
 

にやついてもいない。


言い返すと、やはり厳しい瞳が返ってくる。


この人も結構な二重人格じゃないか?
 

皿に料理を分けた朝間先生が、咲桜に向き直る。


「咲桜ちゃん、神宮さんに変なことされそうだったら大声出すのよ? うちまで聞こえるから駆けつけるわ」
 

とんでもない助言を。
 

たぶん、咲桜の関係で頭を抱えるのは愛子より朝間先生の方だ。

< 315 / 336 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop