朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
side流夜19
たたき起こされた俺は、床に正座させられていた。
安心の中で完全に眠り込んでいた頭ははっきり覚醒している。
やべえ。一番やばい人を怒らせてしまった。
「流夜くん」
「……はい」
言い訳――なんて無意味だ。
黙って説教を喰らうしかないだろう。
在義さんは腕を組んで仁王立ちだ。
「確かに私は君と咲桜の婚約も認めている。そのまま恋人になろうと構わない」
「……はい」
そこは認めてくれるのか。
だったらなんでこの前逃げたんだ。
……言いたかったけど、今は自分、そんなことを言える立場でない。
「だからってねえ、少しは私のショックを理解してくれ……責める気はないけど、お願いだから少しだけ気遣ってほしい」
一人娘を嫁にやるんだから……と、在義さんは今にも泣き出しそうな声だった。