朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
しかし今の在義さんに逆らえる雰囲気はなかった。
俺は神妙な顔で肯いて、在義が風呂に消えたその後、片手で頭を抱えた。
相変わらず――苛烈な人だな。
その行動力と意思の固さは、他の追随を許さない。
在義さんの発言には咲桜も驚いているようで、しばらく二人で呆然としてしまった。
そのあとに、揃って小さく笑った。
「俺たちのためかな」
「たぶん」
本当、在義さんには敵わない。