朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


「いや、あのな、りゅう。それってまんまじゃねえか」
 

今度は生真面目な眼差しで見てくる。


だからなんだというんだ。
 

………。


「まんま? ……ああ、やっぱりそうか……」


「あれ、気づいてんの? 自覚あんの?」


「ああ……最初からわかっていたけど……これってまんま在義さんの娘バカがうつったよな……」
 

……あ? と、一転、降渡が半眼になった。


吹雪は笑いをこらえているように顔を歪めている。


俺は、最近の悩みを口にした。


「いや、わかっていたんだ、最初っから。あ、最初って言っても見合い事件の日だけどな? あまりに在義さんが娘自慢するからそれがうつったんじゃないかって……。おかげで俺も咲桜を愛でるのが楽しくてしょうがない」
 

この問題で、このところ本当に悩んでいた。
 

……何故かいつもベラベラ五月蠅い奴らが何も言ってこない。

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