朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
side流夜③
「……遙音から、松生のことを聞いたことはないな」
「……そうなんだ」
咲桜は後ろ抱きにされて落ち着いて――いないが、なんとかまともに話すことが出来た。
遙音と松生、か……。
あのときのことは、俺たちも少々失策だったと反省している。
では遙音は、松生のことは憶えていない……のだろうか。
どうやら咲桜は、松生が転校してくる前――遙音と友達だった頃に起きたことは何も知らなかったようだ。
俺も当事者とまではいかないが関わっているから、少し説明しておく。