朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
耳を澄ますと、静かな寝息が聞こえて来た。
マジか。え、いやなんでこんな格好で寝られるの。器用だなー。
「………」
しかし更に困った。
吹雪さんのところで徹夜も多いという流夜くんが、せっかく寝たところを起こしてしまうのは気が引ける。
こんなところで寝てしまうほど疲れているのだろうから。
と言ってこのままではちゃんと眠れないだろうし、私もなにも出来ない。
幸いソファの上だから、どうにか転がそう。
そう決めて流夜くんを横にしようとすると、しっかり腕が巻き付いている私も一緒に倒れこむ羽目になった。
「……流夜くん、起きてない?」
わざとのような気がして声を尖らせるが、目は閉じたままで息遣いも変わらない。
本気で寝ているようだ。眠りが深い。
しかしまあ、一応横には出来たので、あとは私が離れるだけだ。
……だけなのだが、流夜くんの腕が絡みついて離れない。
悪戦苦闘しているうちに、余計に抱き寄せられた。
額がくっつく距離よりも近いかもしれない。
なんだこれ! 笑満!