朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
「遙音先輩? そんなことはないと思うけど?」
なんか流夜くんはいやにそこを気にするな、と感じる。
「遙音先輩と仲良くなるのは笑満の方でしょ」
「……そうなんだろうが……」
納得がいかない。そんな苦い顔が見えた。
すぐにうちについた。
「ありがとうございました。流夜くんも気を付けて」
ベルトを外しながら言うと、返事の代わりのように腕を摑まれた。
「りゅ――?」
「ありがとう。眠れなくなったらまた頼む」
艶っぽい微笑とともに言われ、仕返しを喰らった気分になった。
自分で言いだしたことが、なんとも恥ずかしいことだったと思い知る。
「……はい」
俯き加減で答えても、声はちゃんと届いたらしい。