朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】
今日は、流夜くんは家にはあがらず、そのまま吹雪さんの許へ向かった。
いろいろあって、煙吹いたり爆発しかけた顔をもとに戻す努力をしつつ、「ただいま」と声をかけた。
電気がついているので、在義父さんはもう帰っているようだ。
「おかえりー」
在義父さんに迎えられるのは珍しい。
今は、ジャケットは脱いでいるけど、在義父さんは家でも基本スタイルがスーツだった。
いつでも出られるように、らしい。
現場主義な在義父さんだった。
「流夜くんは?」
「吹雪さんのとこに行くって」
「そうかい。少し文句つけようと思ったんだが……」
「………」
それを想定して家まで入らなかったのかもしれない。
「遅くなったこと? いつもとあまり変わんない時間だけど……」
鞄を椅子に置いて、エプロンをかける。
作っておいたものをあっためなおすだけだけど、習慣だった。